こんばんは、ぼたんです。
初めての畑野さん作品。
みなさんは本屋さんや図書館で本を選ぶとき、どのように新しい本との出会いを決めますか?
私は昔から、タイトルと表紙の雰囲気から選ぶ派です(笑)
帯や背表紙のあらすじなどがあれば、それを読んで最終決定します。
そして読了後に雰囲気を気に入ると、その作家さんの別作品へ手を広げていきます。
読書好きの人は、図書館を舞台にした作品、好きですよね?笑
今回は、そんな理由で自然と惹かれて手に取っていました。
海の見えるとある街。
本田さん…私立図書館で司書として働く31歳、男性
日野さん…私立図書館で司書として働く25歳、女性
鈴木さん…私立図書館へ派遣社員として入ってきた25歳、女性
松田さん…図書館階下の児童館で働く、本田さんの同期、男性
小説は4章から成っていて、時系列に、上記4人の各人の視点で話が進みます。
破天荒な鈴木さんの登場により、いつもの日常が変わっていった本田さん。本田さん視点の第一章の終わり方には驚き。
本田さんに片想いをしていた日野さんは、鈴木さんの登場にやきもき。思わず本田さんに気持ちを伝えてしまうが、きれいに流されてしまう。松田さんにピンチを救われ気持ちが傾き始めるが、彼の秘密を見知ってしまう。
非の打ち所がなさそうな松田さんの抱える過去。その想いを打ち明けるとともに、近づいたかのように思われた日野さんとの距離。松田さんの後日談が気になりすぎる。
性格が正反対で衝突し合っていた日野さんと鈴木さんも、いつの間にかいい友人に。何とも思っていなかった本田さんに対して、ついつい感情的になってしまう鈴木さんの本心とは…。
はじめは、あんまりに鈴木さんが常識なさすぎて、読んでいてすごくモヤモヤした。
本田さんもなよなよしてないでバシッといったれ!って。
でも、自分の知り合いにたまたま本田さんに似たイメージの人がいて、強く言えないことは弱い訳ではなくて、むしろ優しさと我慢強さというか、その人と重なった部分もあってなかなか憎めないキャラです。
日野さんは本当に本が大好きな女性で、きっと真面目すぎる人。鈴木さんの出会いで変わっていく日野さんも生き生きしていて好感が持てる。ちょっと不器用さんだけど、松田さんへの優しさが可愛らしい。
松田さんはみんなのいい相談役のお兄さん…かと思いきや、暗い過去を経験していて引きずっている。その想いを日野さんへ吐露して、はじめて松田さんから他人物に対する心情の動きが見えてきた…と思ったら彼女の登場で…?
この街での人々との交流から、だいぶ丸くなったように感じる鈴木さん。ずかずかと入り込んでくるときはモヤっとするけど、清々しいほどの正直さは気持ちいい。本田さんとの出会いで、恋愛という価値観が塗り替えられていく変化が愛おしい。
こうやって日常を舞台に、自分と近い世代の登場人物による物語は、他の作品と比べてすっと心に入ってくる気がする。
読んでいると自分も切なくなったり、つい心の中で応援していたり、にやにやしてみたり。
決して「奇跡の大恋愛です!」って感じではなく、ゆるやかに穏やかに変化していく関係性が妙にリアル。
しんみりと心をあたためたいときにオススメしたい一冊です。
ぼたん🌸
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