こんばんは、ぼたんです。
大好きな恩田陸さんの『歩道橋シネマ』、18の物語による短編集です。
ミステリーのような話があったり、怪談チックな話があったり、既刊物語のスピンオフだったり、当時構想中だった未刊の物語のスピンオフだったり…。
あとがきを読みながら、「こういうテーマで描かれたのか…」「こんな背景があったのか…」と、一話ずつまた振り返りながら照らし合わせするものまた楽しい。
小説でも漫画でも、どうして皆さんこんな面白い物語が思いつくのだろうといつも不思議で。
恩田陸さんによるあとがきの中で分かったのは、あるテーマに沿って書かれる話があり、方や日常で見かけた風景・人物に物語を当て込んだり、同じ作者さんでもいろんなアプローチの仕方があるのだと分かったことも面白かった。
特に後者の「日常で見かけた風景・人物に物語を当て込む」のは、意外と普段ぼんやり考えているようで、ここまで物語にまで仕上がるほど熟考はしていなくて、生活の新たな楽しみのひとつとして少し意識してみようかな…なんて影響されています。
あと忘れてはならないのが、大好きな”理瀬シリーズ”のスピンオフ作品も掲載されています!
理瀬本人は登場しないのですが、「麦の海に沈む果実」のスピンオフとして、あの湿原の学校を舞台に理瀬のお父様の学生時代の回想と、この話から「麦の海に沈む果実」にちょうど繋がっていくような描かれ方をしています。
お父様の特異なあのキャラクター、そういった過去もあってだったのかと元の作品がより楽しめる気がします。
そして理瀬もこうしてゆくゆくは…とつい期待してしまう。
個人的に一番心に残っているのが「柊と太陽」という物語。
「クリスマス特集」で書かれた話のようですが、すでに文化として浸透しているクリスマスについて、こんな角度からアプローチして意味づけできるのか…と思わずふふっと笑みがこぼれる。
悪面、三田、きよひこ、滅理来衆益し…
この単語の並びだけでも思い出して笑えちゃう。
怪談要素も多くあるので、夏の長い夜にもぴったりな一冊です。
ぼたん🌸
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