『かがみの孤城』辻村深月 著

読書

 

こんばんは、ぼたんです。

 

 

辻村深月さんの『かがみの孤城』

 

2018年に第15回本屋大賞を受賞しており、辻村さんの代表作ともいわれる作品のひとつです。

 

 

 

 

学校でのいじめが原因で不登校となってしまった中学1年生のこころ。

 

5月のある日、部屋の姿見が光り輝き、鏡の中の世界へ吸い込まれる。

 

 

鏡の中の世界では、オオカミの面をつけた女の子”オオカミさま”に出迎えられ、境遇の近い中学生6人と一緒にあるゲームが始まる。

 

 

 

鏡の中の世界は「願いが叶う城」

 

城の奥には、誰も入れない、”願いの部屋”がある。入れるのは一人だけ。願いが叶うのは一人だけ。

 

来年の3月まで、この城の中で”願いの部屋”に入る鍵探しが始まる。

 

鍵を見つけた一人だけが、扉を開いて願いを叶える権利を得られる”願いの鍵”探し。

 

 

 

始めは戸惑いからよそよそしかった7人の中学生たちが、少しずつお互いに心を開き始め、お互いの存在を力に一歩ずつ踏み出していく。

 

誰が鍵を見つけ、何を願うのか……。

 

 

 

 

 

辻村さんらしい、思春期の子どもたちの葛藤や心情が丁寧に描かれていて、読んでいて静かに心が撫でられるような感覚になります。

 

 

正直に、読み始めから8割くらいは、「ファンタジーな世界を舞台にした思春期の子どもたちの成長物語」みたいな感じで穏やかに読み進めていたのですが、問題は最後!

 

 

少しずつ、少しずつ、からまった紐がほどかれていって、これで解決したかな…と思ってもまだどんでん返しがあって。

 

ようやく本当の着地が見えた…と思ったら、そこからもまた意表を突かれる展開が残っていて。

 

 

 

 

読了後の爽快感が、久しぶりに味わう気持ちよさ。

 

最後の怒涛の展開に読む手が止まらなくて、読み終わってすぐ読み返したくなる。

 

普通に読み進めていたところに、たくさんの伏線が張ってあった。

だまされた気分なんだけど、素直に驚きとわくわくの方が勝る。

 

 

 

あとやっぱり人物像の描き方が丁寧で、ついつい共感とか感情移入したくなる。

 

今回は7人の中学生を中心とした物語。

一人ひとりキャラクターの個性が光っていて、物語が進み関係性が進むにつれ各々の話し方とか醸し出す雰囲気が変化してきたり、文章で読んでいるだけなのにそういったものを感じられるからすごい。

 

そう、文字で読んでいるだけなのに、躍動感を感じた場面があった。

たぶん頭の中で勝手に映像化されてたんだと思うけど、そうやって無意識に映像化ができてしまうくらいすんなり言葉が入ってきているってことだからもう魔法。

 

 

それぞれ学校に行けなくなった理由とかどれも共感できるし、それを見守る周りの人たち、特に親の描写もついついうーんと唸ってしまうほどリアル。

 

 

 

はああ、願うことなら彼らの続きの物語が読みたい。

(と、いろんな本を読むたびに思う(笑))

 

 

 

学生物語が好きで、穏やかにミステリーを楽しみたい人にもってこいの1冊でした。

 

 

 

 

ぼたん🌸

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